新聞販売所のおじさん! 山羊を飼うのは文句はつけないけど、その飼い方あんまりでしょ!

隣りの市の新聞販売店のおじさんが、山羊と兎を飼いだしたのは昨年の秋だったと思う。私は特に「ちゃんと飼ってるかなんて咎めだての視線で見ていたわけでは決してないが、ある雨の日に、山羊が雨に濡れながら、置いてあるビール箱の上に片足で立っているのに気付いた。いかにも不自然で、つい車を止めてそこに行ってみた。

すると、小屋はいいかげんな作りで雨がざぁざぁと漏っており、地面が水たまり状態なのである。「これはひどい」とあたりを見回したら、道路沿いの兎たちはもっとひどいことになっているではないか。小さな小屋にぎゅうぎゅうにつめられ、底は糞がびっしりで、しかも雨が中に振り込み糞はどろどろ。兎たちは細い板の上に、みんなが小鳥が並んで止まっているようにして蹲っている。

この日の夜、福島に給餌に行く日で、私はそのための買い物にホームセンターに行きそのあと少し眠っておきたいと思っていたのだが、山羊と兎をこのままにしておけず、ホームセンターから、すのこ、ビニールシート、大判の板などを買って、山羊と兎が少しでも居心地良くいられるよう応急処置をし、おじさんあてに、「このままでは病気になって苦しみますので、気をつけてあげてくださいな」と置き手紙をして帰宅したのだった。

その後まもなく兎小屋には荷物が置かれて、つまり兎は一匹も姿がなくなり、山羊小屋は私が応急処置をしたままになっていた。私はそうした愛のない飼い方をされている動物を見るのが辛く、その道は通らなくなった。



そして今日、久しぶりにそこの道を通った。

そして、心臓が凍りそうになった。

山羊小屋は、近くの空き地に移動になっていて、移動は別にいいのだが、小屋が二つ、それもちょっと風が吹いたらふっとびそうな簡易小屋で、小さな方に、大きな山羊が二頭、身体がはみ出ている状態で座っている。

心臓が凍りそうになったのは、もうひとつのちょっと大きい小屋である。車から見ても、お乳のはったお母さん山羊と、人間で言えば二、三歳と思われる子ヤギが三匹いるとわかり、みんな立ったままなのである。

キキーと音を立てて車を右に曲げ、空き地に突っ込むと小屋のそばに行った。思った通りだ。お母さん山羊と三匹の幼い山羊たちは、床には泥水がたまり、座りたくても座れる状況でなく、ガタガタと震えていたのである。

私はすぐに指導センターに電話をし、「山羊があまりに可哀そうだから、すぐに改善を指導してほしい。すのことビニールシートがあればとりあえずは座れるようになるから、飼い主さんもそのくらいはすぐにできるでしょう。指導をお願いします」とお話しした。

だが、この地区にまわるのは水曜日と決まっていて今日は行けないという。

仕方ない。結局、私は本当はうちの猫と犬のためにフードを買うためホームセンターい向かっていたのだが、急きょ、すのこ二枚、大きくて丈夫なビニールシートを買うことになった。

一応販売店のお店に声をかけたが応答なし。さっさと自分で処置することにした。

そして、すのこを敷き、小屋の屋根にシートをかけたのだが、お母さん山羊は子育て中であり、気が立っていて私に向かってくるのではないかと心配するも、まるで私の思いがわかっているかのように、全く穏やかにすのこが敷きやすいように動いてくれたのである。そのいじらしさに涙もろい私はベーベー泣いてしまった。

泣いたと言えば、ビニールシートが大きいのでなかなかうまく小屋を覆えず、雨にびっしょりになりながら奮闘していると、学校帰りの中学生の女の子が、自転車を降り、駆けつけ手伝ってくれたのである。その上、カバンからタオルを出し、「顔と頭を吹いて下さい」と言ってくれたのである。ほんとに感涙だった。

この後、すのこが足りず、お母さん山羊のいるところがまだどろどろなので、家にいったん帰り、壊れたホットカーペットを丸めて箪笥の上に置き猫たちの昼寝場所兼遊び場にしていたのを持って、また山羊さんの場所に戻り小屋に敷いた。この時、お母さん山羊は自分も子ヤギも外に出し、敷きやすいようにしてくれたのである。

そういうと、多くの人は「そんなのたまたまだ」と言われるだろうが、いいえ! 敷きやすいように自分たちはどいてくれたのです!!!


新聞やのおじさん!

お願いですから、山羊を飼うなら、自分の孫の世話をする気持ちでめんどうみてください。あるいは自分のことにあてて考えてやってください。おじさん、あなたはやがて誰かの世話になる身体になるかもしれない。その時、動けなくなった自分のいるところに、雨が落ちてきたら、床がびしょびしょになったら、どうしてほしいですか?

「おれは人間だ、ちゃんと濡れないように、乾いた場所に移されるのは当然だ。動物はいいんだよ、あれで」と言われますか?

もしそうなら、あなたは常にそこらじゅうに茨の種をとばしている。その種は、そこらじゅうに茂り、人間も勿論、命あるもの全てをを苦しめていくんですよ。誰よりもあなた自身を。



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