古い牛乳

夫が木綿風の白っぽい服をきて、冷蔵庫の牛乳を取り出し、パックのまま飲んでいた。私はその牛乳が開封して日がたっていることに気づき、あわてて「古いからそれは飲んじゃだめだわ」と言いながら取り上げた。

ここで目が覚めた。『夫はのどがかわいているのかな?』と首をひねりひねり、明け方取り替えたのだったが、仏壇(ただの棚で代用しているのだが)の前の水をとりかえた。
牛乳も供えてあげたかったがなかったので、生前夫の栄養食だったエンシュアをコップにうつして供えた。
それから「ジョウブツシテスダサイマシ」と志村けん調で言った。

少しおどけているぐらいが私にはちょうどいいのだった。すぐに重く深刻になってしまって浮き上がるのに時間がかかるのだ。
今日は遅くなったがこれから犬たちの散歩。風がちょっと冷たいけど森の中は気持ちがいいだろう。


昨年の夏の夕空。散歩が遅くなってこんな空の下をくぐりながら家に帰った。