相棒 8-6 フェンスの町で

家庭崩壊、両親の離婚、その背景に基地が影響している共通点がある二人の中学生少年が、基地を憎み、基地を爆発させようとする物語である。杉下右京(水谷豊)が少年の心のうちに彼流にとびこみ、推理力を駆使して爆発は未遂に終わるのだが、私の読み取り、感受性が浅いのかもしれないが、それにしても感傷的なレベルの作品だったなぁ、というのが感想だ。


相棒の魅力は、展開や意味が二重三重の層になっていても描き方はシンプルなところにあるのだけど、今夜の相棒はシンプルというより単純過ぎ。監督は中学生の心情に肩入れし過ぎだなぁ。あの程度の家庭の不幸を情緒的に基地のせい、としてし描いては、社会的な意味は迫ってこない。
せめて、神戸尊(及川光博)にあの中学生をぶんなぐらせるくらいの現実性を盛りいれてほしかったなぁ。頑とした大人が向かい合わなきゃ、あの子たちを救えないし、演出側の懐が浅く感じる。
右京さんがラストに、「あの子たちのやったことは重い。それを乗り越えて生きるのは大変だ」という意味のことを言い、それが演出側の姿勢で、ドラマの中で救いにつながる人や事柄はなくていい、というポリシーであるかもしれないのだが、それにしても少年たちに対する大人の存在の希薄さは寂しい。


  
というわけで、いつもは相棒贔屓の私ですが、今回は珍しくパス。→例えば、タイトルのフェンスに、単なる基地そのものだけではなく、少年たちの心に立ちはだかる壁の存在を表している、と見れば広い視線でドラマを観れるとも思うのだけど、もしそうであってもあの子たちの頑ななさの解け方が甘く見えてならなかった、ということです。やっぱりこのドラマは大人の描き方にもう少し神経こめるべきではなかったか、と。