篤姫 三十一回 さらば幾島

大人の女性二人(幾島:松坂慶子 右大臣近衛忠熙に仕える老女村岡:星由里子)の凛とした見事な生き様を描いた。
井伊大老中村梅雀)の安政の大獄の嵐吹き荒れる中、村岡も慶喜擁立の為、政治的な動きをした疑いをかけられ江戸に連れて来られる。篤姫宮崎あおい)と幾島は、村岡を救おうと必死で知恵をしぼる。そして、篤姫が将軍に嫁いだ時の内掛けを村岡に届ける。
村岡は、牢に等しい場所に軟禁されていたのだが屈することなく、詮議の日、篤姫の内掛けを身に纏って詮議の場に出る。打掛けをとろうとする役人(藤木孝)に、「この内掛けは天璋院様より授かったもの、徳川の紋と同じじゃ」という意味のことを言い凛として立ち向かう。たじたじとなる役人。村岡は一定期間の拘束の後放免となる。

星由里子は衰えぬ美貌と黒目がちの凛とした眼をもって一徹の村岡を演じ、存在感があった。幾島との対面の場面は舞台を観ているようだった。

幾島もまた凛とした美しさで村岡救出のために動き、そして村岡が最小限度の罰で済んだ後に、いよいよ篤姫のもとを去る決意をする。松坂慶子は、幾島が厳しいがとても懐の深い人間的な愛情のある人物であることを示し好演だった。
ラストの篤姫と幾島の別れの場面は涙なくしては観られなかった。