念願の劇場版「相棒」をついに観た

以前に、仕事の都合で「相棒」放送の水曜日に出かけなくてはならず、ご近所のだれかれに、「相棒のビデオとって」と頼みまわったり、ちょっとした立ち話に、「ドラマは相棒しか観ない」など言っていたものだから、私の相棒好きはちょっと広がっていたようで、ある人からチケットを2枚いただいた。観に行くつもりで準備したのだけれど、仕事の都合で行けなくなったので、ということだった。
「おー! いいんですか!! 観たかったけどビンボーで行けなかったの。サンキュー、サンキュー!!!」


早速、夫とともに行ってきた。夫は要介護4の認知症で、そのせいもあって2時間もじっとしていられないので心配だったが、留守番をしてもらうのはもっと心配なので一緒に行ったのである。
「相棒の映画を観に行くけど、行こうよ」と言ったら、食べていたドーナツを放り投げるようにして立ち上がったのでびっくりした。


さて、その映画館はスーパーの二階にあって、エスカレーターはあるがエレベーターがない。しかもエスカレーターはゆるやかなタイプではなく、昇る場合は問題ないが、降りる時、おぼつかない足の夫にはとても無理な形だ。
でもそんなのカンケーネェ、といそいそと行った。
何年ぶりの映画館で観る映画だろう。2000年に、夫が脳出血の後やっと歩けるようになったという頃、「千と千尋・・・」を古河の映画館に観に行って以来だ。(古河の映画館は今はない)


もし夫が落ち着かなくなっても知ったことか、私はじっくり観るぞ、とケッシの覚悟で行ったのだが、夫は最初から最後まで集中して観ていた。終わってから、「映画、どうだった?」と訊いたら、「面白かった」と言った。


私もかなり感情移入して観た。全編あっさりというか淡白な描き方であったが、テーマにとても共感した。
ネタバレになるといけないのであまり詳しく書けないが、ひとことづつキャストへの感想を。
杉下右京さん(水谷豊)、薫ちゃん(寺脇康文)は大型画面の中でますますかっこよかった。いつもの三人組は、テレビよりうんと優等生になっていた。米沢さんは、怪しい雰囲気を加味してテレビより厚みが出ていた。神保悟志のクールさはいぶし銀。岸谷吾郎(五郎?)には笑わせてもらった。木村佳乃議員、あのラスト、監督の願いと祈りを一身に背負っての熱弁、気持ちよかっただろうな。人生の中であんなヒーローできるってないよね。俳優は、役作りに、実際の人物を念頭において演じることがあると聞くけど、木村佳乃は誰を参考にしたんだろう? 小池百合子さんかな。
平幹二朗はライオン髪形をして元首相を演じ、怪々な存在感はあったけどちょっと型通りって感じが残念だった。西田敏行の感情の演技は、ウ〜ン、薄かったかなぁ。もうひとつ渋いあくが欲しかった。でも最後のあの表情には胸打たれた。
原田龍二は面白い味があった。右京と薫ちゃんを別にして、一番光っていたのが柏原崇と川で子供の頭を洗っていたあの青年の笑顔。
わからなかったのが、木村佳乃が狙われた理由と、あの倉庫に爆弾をしかけていた意味。


何はともあれ、念願の映画が観れてよかった。映画一作目の「相棒」は、人物紹介の要素があったから、二作目が出るのは間違いないだろうと思う。そしてその二作目こそ、人間と社会の描き方が的をしぼった形になって、もっと深く面白くなるだろうと確信する。