相棒 再放送「通報者」

生活保護を受けて暮らしている母親と、息子の中学生と、幼い女の子の三人家族。その中学生が、夜間に自動証明書用写真を撮っていると恐ろしい悲鳴が。少年がのぞくと、今や女性がひもで占絞殺されるところである。急いで公衆電話に駆け寄り110通報をする少年。
「女の人が首を絞められています、早くとめないと殺されちゃう・・・」
「落ち着いて。あなたの名前は?」
「おれは・・・・・・・・・」ガチリと受話器をおく少年。


ここから、少年の妹を守ろうと自分の全ての知恵を絞ってウソをつき、犯罪に問われかねないこともやってしまう物語が。そしてそれに繋がった女性殺人事件の背景と謎が神戸くんと右京さんによって解けていく。


私は少年が、自分と妹をおいてよその男性と駆け落ちしていった母親を、「一度だけ、夜出かける母をつけて行った。母は男性とあっていた。その時の母の顔は久しぶりに嬉しそうに笑っていた。その顔を見て思った。母はどんなに寂しかったか、支えを求めていたか」と右京さんたちに語るのだが、この少年の気持ちが胸にしみてきた。

もうひとつこのドラマで感銘を受けたのは、神戸くんである。神戸くんは、見かけによらず、刑事と言う理性の鎧を脱いで、少年に寄り添う人間なんだな、と。これまでの物語をふりかえってもそうだった。たとえばミス・グリーン。これは草笛光子のミス・グリーンと神戸くんの不思議な愛の物語で名作だと思っているのだけど、及川光博だからそうなり得たんですよね。
今回の少年と神戸くんの関係も、及川光博だから不思議な無防備な世界が見えたと思った。