新参者「女の執念」

龍馬伝を観たのち「新参者」が放送になるわけなのだけど、ドラマのはしごは疲れるのでグズグズしているうちにはじまってしまっていた。観ると面白かったので来週こそ最初から観るゾと決心する。

第一回目に原田美枝子が殺されて、阿部寛が犯人探しをするのだが、経緯のなかで犯人と疑われる人物と向き合い、その人物たちの出来事を通して背景や心情を浮き彫りにしていく。毎回その物語がよくできているのだが、この回は嫁と姑の確執を描いている。倍賞美津子が、人のよい頼りない息子と水商売をしていた派手な嫁を相手に鬼姑ぶりを発揮して、何かとんでもないことがありそうに見せる。
でもこの一家、ラストはほのぼのと可愛らしいハッピーエンドとなって、結局、原田美枝子殺しの真犯人はまだ藪の中だ。

こうやって犯人が藪の奥深くに潜んでいくにつれ、殺された原田美枝子の存在のにぶく光る陰りの部分が浮き出てきて次週への期待が高まってくる。

それにしても阿部寛の存在はオカシイ。登場人物が何かに集中していると、カメラがじりじりと近寄っていく。はっと振り返る人物。ここで間髪をいれず何かに殴られる。・・・というのが、犯人が迫る時の常套場面だ。
ところはこれは違う。はっと振り返ると、長身で長い顔で目玉が大きくて口角をあげた唇の髭面の阿部寛が立っているのだ。充分おっかないが、阿部寛は刑事で犯人ではないとわかっているのでほっとする。
思うに、この場面の阿部寛は、人殺しの犯人ではないけれど、その人物に忍び入る存在ではあるんですね。その人物がもつ倫理観や道徳観を超えた善というか愛というかそういうものの化身としての存在。そんな気がする。