記憶の海 三話

出演:筒井道隆 伊藤歩 柴俊夫

このドラマが四話毎日放送されることを知らなくて、昨日の二話を見落としてしまった。それでどのような筋であるかさっぱりわからないまま、今夜の三話を観た。
記憶の研究をしている教授は、アルツハイマー型の認知症にかかっており、ついさっき自分がやったことを次々と忘れていっている。
「記憶が消えていく自分が記憶を取り戻す研究をしている・・・」と教授は哀しみをひそめた苦笑いをする。
ヒロインの伊藤歩は、教授の記憶を読み込む媒体者になることをかって出る。彼女は、記憶を失っているヒロタ(筒井道隆)の記憶を読み込みたいのだ。


こうやって自分の中の記憶が、他者を通して甦るというのは、私は怖いことだと感じ、一話を観たのち、「怖い展開のスリルとサスペンスの物語」かと思ってしまったが、二話は、教授の記憶は娘の誕生から成長にしめられていて、美しく幸せなものであった。

だから、読み込み者のヒロインも幸せであった。ヒロインのその様子をみて、ヒロタは自分の消えた記憶に思いを馳せる。・・・・・明日はヒロタの記憶と真実がわかるのだろうか。やはりこれはスリルとサスペンスだなぁ。


私自身のことだが、私の記憶に”幸せ”はない気がする。今、自分が開く記憶のなかで、私のまわりに幸せそうな人間は誰もいなかった、という気がする。
私はきっと、常に極度の緊張を強いられてそれに耐えている記憶ばかりだろう。