TBS「イブニングワイド」で放送した「犬屋敷」について

最初に、この報道の主旨や取材に答えておられた近隣の住民の方の発言に、抗議する気持ちはないことを断っておきます。


こうした多数の犬や猫を飼い、近隣から苦情がでる問題の『核』は、『捨てる人が間違っていること』『捨てる人に、自治体や政府は、捨ててはいけないことの指導を、本気でしてこなかった』『これまで、動物行政や殆どの愛護団体は、捨てられた犬猫を抱えて苦しんでいる側の人をバッシングし、社会や世間に、捨てることが悪いというより、救っている側が悪いという印象を与えてきた』、この三点を過小評価してきたことにあります。


上のように意見を言いますと、必ず、『捨てる人が悪いのはわかるけれど、現実問題として、それを言っても効果がないのだから、やはり、抱えて近隣に迷惑を及ぼす人をなくして、犬猫が世間の人々から嫌われないようにすること大事』という反論が戻ってきます。

これもひとつの考え方でしょう。そして、一番楽な方法でしょう。捨てられた犬猫を見捨てらず抱えてしまう人は圧倒的に少数派で、こういう人を抑圧したところで、社会を敵にまわしませんからね。あくまで捨てる人がいるのが悪い、と主張し続ければ社会の多くの人から嫌われ、場合によったら主張する側にも圧力がかかるでしょう。それを耐えて、あくまで最もまっとうなところに立っているのは大変です。愛護活動らしいことをしている人の一割もいないでしょう。非難しているのではないですよ、何の運動でも、基本をたがわずやっていくは大変な能力と忍耐が必要です。そういう人はなかなかいないのが当然です。


でも、それでも、『捨てるあなたが悪いのですよ、犬屋敷にしたのは、あなたなのですよ、世話をしている人は変わり者かもしれませんけれど、悪くないのですよ、犬の次に一番苦しんでいる人なのですよ』というしか、方法はないのです。遠回りのようでも、一番まっとうなところでがんばるしか、本当の解決につながる道はありません。

もしあなたが、動物愛護の活動をして、社会から「先生」と尊敬される立場を得たいのなら、今のままでいいでしょう。(皮肉で言ってるのではないです。こういう生き方を望むのが人間の普通の姿です)


今回の「イブニングワイド」の放送は、女性のキャスターが、「もう個人の限界をこえているから、行政をあげて(このようには言われませんでしたが、意味はこうだと理解しました)譲渡会をやってへらすなどしなくては」と良識的な意見で、「よくわかっておられる」と共感しましたが、『捨てる人がいなければこうはならない』という視点がもうひとつ加わればなぁと思いました。

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捨て犬猫による問題がニュースになった時、私は常にこの視点に立って、つたないながら記事を書いていますが、そうしますと、「じゃ、あなた、全部飼って」といわんばかりに、私の近辺に置いていかれる犬猫の数が多くなります。(たまたまの偶然かもしれませんが)
こうした苦しみは、隣の多数の犬や猫の鳴き声や臭いに苦しめられる人の苦しみとどれだけ差があるでしょう。同じ不条理ではありませんか。それでも、こちらは少数派だけにこうした被害に苦しまされることの声を取り上げてくれるメディアはありません。
・・・・・・・・取り上げてほしいと言っているのではありませんよ、こうした問題に対する日本人の意識はこうだなと諦めの一言です。

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冒頭に「抗議する気持ちはない」と書きながら、大分”毒”が含みました。どうしてもこうなります。30年ですよ、30年間、身勝手な人に苦しめられ、普通の生活を奪われ続けてきましたからね。その上、行政、愛護家や団体から、ならぬ堪忍を強いられてきましたし。
普段は、ま、しかたない、人間の多くは、わかるときがこなきゃわからない、とそれなりに納得しているつもちですが、何か事がおこるとこのような煩悩があらわれてきます。
小人ですから仕方ないですね。