坂の上の雲 第三回「国家鳴動」

原作:司馬遼太郎
出演:本木雅弘 阿部寛 香川照之 松たか子 菅野美穂 竹下景子 国村隼人 大杉漣 渡哲也 高橋英樹 加藤剛 原田美枝子 江守徹 佐野史郎 伊東四朗
語り:渡辺謙

明治22年2月、大日本帝国憲法が発布になり、若者たちは国と自分たちの未来への希望に沸き立つ。その最中、子規(香川照之)は喀血し、療養のために伊予松山に帰る。ここから『子規』という俳号を使うようになるのだ。『子規』とは、ホトトギスのことで、ホトトギスの鳴き声が肺結核に罹った人の咳と似ていることから、肺結核の代名詞とされているという。(子規のセリフより)
私はこれからの子規と、子規を看病する母親(原田美枝子)、妹(菅野美穂)の凄絶なそれでもなお三人は光を失わなかった人生を想像し、『このドラマをずうっと観ていられるかなぁ』と辛いものを覚えてしまった。それは三人が適役であることを知るからである。


今回は、子規の結核と俳句の道に本格的に入ること、真之(本木雅弘)は海軍兵学校を卒業し海軍におり、後の連合艦隊司令長官となる東郷平八郎(渡哲也)と出会うこと、好古(阿部寛)は松たか子と結婚し日清戦争に赴くこと、真之と好古の父(伊東四朗)の死などとともに、国が日清戦争に突入していく経緯を描いている。


川上操六(国村隼人)と陸奥宗光大杉漣)が清国に兵を出すことを決め、時の首相伊藤博文加藤剛)につめよる。伊藤博文は「侵略をしてはならない」と硬い態度であったが、結局、『侵略ではなく、道義的に扱われていない我が国の民の保護』という大義名目を世界に知らしめる形を経て宣戦布告をしていく。
そして、この時、新進気鋭の東郷平八郎は、民間の船に敵国とする軍人が多数の民間人にまぎれて乗船していることを見抜き、大砲を撃つことを命令するのだ。


戦争の義というもの、ヒューマニズムというものは、えてしてこうした不義・冷酷・欺瞞の土台の上に、権力や多数が成り立たせていくものであることを、早やここで知らされる。
だがドラマは、義・不義ともにそれを見て、何が義か不義かを叫ぶのが目的ではないのだろう、と思う。

どこに義があり、何が不義か、天のもとでは単に力が作ったものに過ぎない。ただ己の信じるものにむかって真っ直ぐに力いっぱい生きるしかないのだ。現代人もまたそうして生きている。
そうした視線を潜めながら、このドラマを観ていこうと思う。


<番外編メモ>
松たか子
綺麗ですね。純朴な魂の人間が焼いた陶器の人形のような透明感がありますね。

菅野美穂
あまり知らなくて、CMなどで現代風の女性というイメージだったのですが、女優としての確かな根っこを感じます。


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<キャストの確認などについて、下のサイトを参考にさせていただいています>
スペシャルドラマ 坂の上の雲 キャスト表
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/5784/taigadorama/cast/sakanouenokumo.html


視聴率 19.5%