椅子からずり落ちる結果・・・

一昨日の検診で、状態がとてもいいと言われてひとまず安心なのだが、でも暮らしのなかではてんやわんやばかりである。例えば、起床後はベッドで身体の清拭、着替え、口中の清拭、そして血圧測定、体温計測。それらが終わると背もたれの動く椅子に移動して、食事注入をし、その後は新聞を読んだり(実際は読んでいない)、テレビを観たりする。夫がそうやっている間に、私は犬たちの散歩をする。窓のカーテンを開いておいて、一回の散歩が終わるごとに声をかける。「もう少しで犬の散歩終わるから。終わったら散歩よ」。毎回同じ事を言って次の犬たちを連れて出るのだ。


それらが終わって夫の散歩に出て1時間ほど歩き帰ってくると、もう昼の注入である。
これが平日の日常である。


土日祝日は犬の散歩に行かないので、夫は散歩の後、まだ注入にはならず、しばらく椅子に腰掛けてテレビを観る。
さて、今書こうとしていることは、こうした日の、椅子で時間を過ごした時の注入時のてんやわんやである。
夫は椅子に腰掛けていると、すぐにずるずると身体をずり落ちさせるのである。半分ずり落ちた姿勢では注入ができないので、椅子にきちんと座りなおす介助をするのだが、これが結構大変なのである。
医療大学の病院に入院中、リハビリをして下さる若い理学療法士の先生が、「ご主人は、介助者がやりやすいように身体を応えさせないので大変ですね」と何度か言われたが、まったくほんとにその通りなのである。通常、移動や、座りなおしなどをする時、要介護者自身も介護者の要求に自分をあわせてスムーズに動こうとするものだと思うのだが(理学療法士の先生はそう言われた)、夫の場合、特に抵抗をするというわけではないのだが、全体重を預けて、その上、自分はベッドの柵などをつかんで動きにくいようになってしまうのである。
簡単にいえば、体重50キロの意志をもったこんにゃく石を、一人で動かさなければならない状態になるのだ。
こんにゃく石などというものはないと思うが、私はいつも夫の介助をする時、自分でストッパー的になっている50キロの石状こんにゃくをなんとかいい形に移動なり直すなりすることと格闘している、気がする。時間的にはそう長くはないのだが、毎回脂汗が顔やわきの下にたまるぐらいである。腰も痛くなる。


まあでも介護というものはこんなもんだ、と覚悟をしてショートスティもディサービスも訪問介護も受けずにここ五ヶ月やってきている。
しんどいのはほんとにこんなもんだと受け入れられるのですが、猛烈に腹が立つのが、こちらの至らなさを、実に不快そうにするんですよ、コイツが! 高みの視線で! ぬー!!!