猫のシロの災難

昨日のことですある。日中姿が見えなかったシロ。私は夫のベッドの布団の中にもぐりこんでいるのだろうとまったく気にとめなかった。シロは布団にもぐって寝るのが好きだからだ。


夕方になって、食堂で猫たちのごはんを用意しているのに、それでもシロは姿をみせない。この時点で、「あれ? シロはどうした?」とやっとシロのことを気にしたのである。シロはごはんの準備がはじまると、真っ先にとんできて、カリカリフードをボールに入れて、次に缶詰めをチョコチョコとまぜる時にそのチョコチョコの缶詰めを横からササ、ササとくわえて食べるのである。まるでそれが我が猫生の至福、といわんばかりの様子である。
それなのに、この日はとんでこない。
「シロ、シロ、ごはんだよ〜」と廊下で大声を出してみたがこない。布団も見たが、ナントいない。
シロは外に出ない猫なので、外にいるとは思えない。具合が悪い風でもなかったので、家の中のよっぽど寝心地のいいところを見つけたのだろうか、と思いながらも心配になって探さなきゃと思った。その前に、干している布団をいれておこうと、一階の書斎兼物置兼洗濯干し場になっている部屋の外のベランダに出た。


いたのである。シロが。どうも朝布団を干した時について出て、そのまま締め出された格好になってしまったようだ。昨日は夫の健診で病院に行くなどしてその部屋に入っていなかったので、もし鳴き声を立てていたかもしれないのだが聞こえなかったのである。だいたい猫の声がしても、他の部屋の猫が鳴いてるぐらいに思うし、とにかくそう細心の注意をはらっているわけではないので気づかなかった。


シロはひどくショックを受けたようであった。じいいいいいいっと私の顔を見て、「こわかった! さびしかった! 庭の犬にほえられた!」と訴えた。
「ごめんごめんごめん」と私は謝ったが、『ま、こんな程度の災難にヘタルようじゃ猫とはいえないゼ』とうそぶちていた。


それにしても今日でなくてよかった。昨日は温かかったし。そして、この夏にベランダにネットをはってもらっていたのだが、ほんとによかった。そうでなければ、犬のタロウは身軽で細いので難なくベランダに上がれる。もしそうなっていたら、世間知らずのシロは逃げ方も知らずとんでもないことになっていたかも・・・。よかった、よかった。


※タロウはサンルームの猫たちと同居して、庭にも自由に出られる身の上である。寒くなってきた昨今、夜は猫たちのヒーターによりかかって寝ている。つまり猫と仲良く暮らしているわけである。
なのに、他の猫にはそれほど友愛的といえない。(首相、叱ってやってください)
危害を加えるほどではないが、ベランダに上がれたらシロにちょっかいを出しただろう。