退院後の夫の様子

一日の流れは入院前と変わらない。朝起きたらトイレに行き、熱と血圧を測り、水を飲み、お風呂に入ってさっぱりしてから朝食をとる。これでだいたい午前中が過ぎる。
午後は昼食の後、日和の具合で車椅子で散歩に出る。アエイウエオアオと喉をつかうリハビリ風のことをしながら歩き、平らな道では自力で歩いてみる。
帰宅したら、一時間ほど横になる。眠かったら眠ってねと言うが、夫はたいていは眠らず、結局起きてテレビを観ることが多い。この間、私は夕食の支度をしながら、電源を入れっぱなしにしているパソコンに向かったりする。


と、こうしたパターンは続いているのだが、夫の状態はあまりいいとはいえない。
退院して四、五日してから、午後になると夫の顔が赤みがかってくるのに気づいていた。血圧も普段低めなのにかってなく高い。高いといっても数字そのものは異常な段階ではないのだが、普段と違うのでやはりおかしい。
これは、薬の副作用の表れではないか、と私は思った。


退院するときに出た薬の中で、私がはじめてみるものがあった。抗パーキンソン剤である。いわゆる神経系、感覚器官に作用する薬だ。入院前にかかっていた病院からもこれは出ていたのだが、別の薬だ。
私はこれの作用ではないかと思った。汗も異常なくらいかく。朝起きた時、シーツと厚めの毛織の敷物と敷き布団、そして敷き布団の下までぐっしょりと通っているのだ。排尿をしたのではないことはわかる。


この薬とは関係ないと思うが、就床してしばらくの間、呼吸が苦しくなるのも普通ではない。以前は固形物がつまってこうなっていたが、食事は現在は摩り下ろしかミキサーにかけたどろどろ状のものにしている。


とにかく、薬の相談と、呼吸困難ついて、内科の先生と、呼吸器専門の先生がいらっしゃる日に診ていただこうと日程を聞いていた。それが今日である。午後なら両方の先生の診断を受けられるということで今日まで待っていたのだ。


などなど相変わらず楽観の許されない日々であるが、夫自身はマイペースである。
今朝、食事のあと、りんごを摩り下ろしてヨーグルトをかけたものを出し、私は犬たちの散歩に出たのだが、戻ってきたら、りんごヨーグルトに、ティッシュや布巾を入れて、グチャグチャと遊んでいた。タオルが丸めてあったので開いたら、りんごヨーグルトがべったりと出た。
思わず「おお!」とびっくりしたら、得意そうに笑った。