篤姫 三十回 将軍の母・・・江戸も薩摩もファシズムが

江戸は井伊直弼中村梅雀)によるファシズムが支配しはじめた。慶喜を将軍にしようとした人たち、井伊に逆らう人たちへの弾圧が起こってきたのだ。
薩摩では斉彬の死後、弟の久光(山口祐一郎)が跡を継いだのだが、父親、島津斉興長門裕之)が戻ってきて、久光を支配し、西郷吉之助(小澤)、月照高野長英)は捕らえられ、吉之助に月照を殺させる罰を言い渡すなど、おぞましいファシズムがはじまった。必死に二人を救おうと動き出す帯刀(瑛太=これからこの人の本領が発揮されそうで楽しみ)。


篤姫宮崎あおい)にとって、最も苦しく辛い時代がはじまったのだ。
救いは、将軍家茂(松田翔太)と理解しあえそうな平安の交流ができることだろう。この場面で、家茂が、『家族』という言葉を使い、篤姫はその言葉が、家定(堺雅人)も言った言葉だと幸せな頃を回想するのだが、この家族というセリフは私にはこじつけの意味づけに感じてぴんと来なかった。


ところで『ファシズム』だが、この言葉が最大に使われるのが『ナチ』や『日本軍』で、特別な時代に横行したような感覚があるが、実際は、『ファシズム』は誰の中にもあり、現在の誰の日常の中にも横行している。集団(小さな集団でも)の在るところ、心していないとすぐに生じる。
ファシズムをとるトップは、己のそれをわかっているが、利害関係の中でトップの意向のままに動く人間は、自分がファシズムの波のひとつであることを意識しない。それだけに、自分らを絶対だとしてしまう。
平和と見える日本の中では、このファシズムを見抜くのは難しい。美言が日常にある集団にこそ、この陰が見えるものだ。

私は子供の頃から感覚的にそれがわかっていた気がする。だから徹底して『個』であることに拘った。なぜわかっていたか。・・・自分の内なる欲望に気づけば誰でもわかるものサ。誰だって世の中が自分の思うようになれば安楽なものだ。・・・これらを知るところからしか、私たちが精神(魂)の自由を得る道はない、というものだ。

篤姫、負けるな! 君は美しき自由人だ。だからこそ苦しみに合う。頑張れ!