22日の篤姫ー母の愛憎

この回の胸を打った場面は、篤姫と家定の純愛。私はこの回ではじめて篤姫宮崎あおいで成功していることを認識した。人間としての純朴さ、女性としてのみずみずしい情感がほとばしって愛らしく素敵だった。これまでずうっと、この役は蒼井優(字が違うかもしれない)なのではないかと思っていた。
家定の堺雅人は、人間不信と屈折と孤独を胸に深く抱いた、うつけとみせて実は英明な将軍であることを、英明であるからこその悲哀をにじませつつ演じている。陰は深くとも荒みは感じさせず、かつ決定的な男性としての虚無を持ちながら、なおふと男性としての色気を見せるのがすごい。


家定の母(高畑淳子)のおかしさの中の悲哀も印象が深かった。そして、若き日の大久保利通原田泰造、好演!)が、「おいはこれから鬼になる」とうめくように言った時、「わたしは鬼の母になるだけじゃ」と微笑んだ真野響子の上質な紬のような美しさにはっとした。ここの”間”(演出)と音楽がにくいくらい★★★★★