緑色の蛇

突然、南側の庭の方で犬の騒ぐ声が。どうもタロウとリョウが喧嘩をしてるようだ。二匹が喧嘩をすることはこれまでなかったから、「どうしたんだろ?」とあわてて出ていった。

すると、二匹が、大きな緑色の蛇と格闘している。格闘と言っても、蛇をくわえて振り回し、落とす、という形だ。二匹とも蛇を怖がっている。蛇の方は当然命のかかった必死の防戦だ。鎌首をあげて、両脇で襲い掛かろうとする二匹の犬を交互に睨みながら、クワーッと口をたてに大きく開いている。その口から炎が吹き出そうな気迫である。

蛇を無事に逃がさねば! と竹箒をもってかけつけた。箒で犬を制御、牽制するつもりだったが、犬の方は、「おれらの味方をしてくれる!」と思ったようで、より勢いを増して蛇に向かう。いや〜、困った。蛇を手でつかんで柵の向こうの森の茂みに入れればいいのだが、私もそれが出来るほど蛇と親しいわけではない。正直おっかない。

それで、リョウのくさりをリョウが気づかぬように引っ張って蛇から離そうと試みる。なぜリョウに気づかぬように、といえば、リョウが庭に入ってきた蛇を見つけて襲うのは、罪ではないのだ。犬にしたら当然のことだ。その当然のことをしているだけなのに、頭から怒られた、という形になってはかわいそうだ。
というわけで、気づかぬように、だ。

などなどあたふたおろおろしている間に、蛇が庭の茂みに逃げ込んでくれた。そのまま森の茂みに入ってくれればありがたい。タロウは鎖につないでないので、茂みに鼻面をつっこんでいるが、多分蛇になにもできないだろう。

あぁあ、朝から疲れた。これから夫を病院に連れていって点滴をしてもらう。