みっちゃんの油絵「春の草原」がカレンダーコンクールで入選

もう何年前になるだろうか、夫が今のように要介護の状態が重くない頃だったから十年は経ったのではないかと思う。私はある場所で、みっちゃんという少女と出会った。
みっちゃんは、当時童話を書いていて、何作も見せていただいた。どの作も時代や人間を独自の洞察をもって切り取り、哲学的な色合いに仕上げてあった。
みっちゃんは、ピアノも自在に弾けた。ショパンモーツアルトをよく弾いて聴かせて下さった。
本当にみっちゃんは多才で、明るい豊かさをそなえた素敵な少女だった。


その頃、私の家族も周りの人も誰も気づかなかったが、私は実はかなり深刻な欝状態にいた。人と対しているのが重くて苦痛でならなかったからこそ、それを打破しなくてはいけないと必死で人の中にいた。こういう時代が、長く長く続いていたのだ。
ついに、みっちゃんの前からも姿を消した。
でもみっちゃんは、ずうっと私を忘れないでいて下さった。私の音信不通を責めもせず、毎年年賀状を下さったし、作品も送って下さった。


そして最近、この動物の絵画がカレンダーのコンクールで優秀賞を受賞したというお手紙とともに、カレンダーを贈って下さった。
明るい春の陽射しのそそぐ草原で、幸せそうに草を食む山羊の絵をみつめていると涙が溢れた。
みっちゃん、ありがとう!