ゆうき動物病院の獣医師先生の発信

昨日、我が家の猫の手術のことで久しぶりにゆうき動物病院に行く。そして院長の安藤先生が結城市の市議になられたとお聞きし、『茨城もいよいよ動物問題の改革がはじまるゾ! 動物たちのために嬉しいなぁ♪』と胸がいっぱいになった。

そこで、以前パルシステムが発行している「のんびる」のブログに、私がゆうき動物病院を取材させていただき、記事を書いていたのを思い出し転載しておくことにした。


こどもとペット2007-04-29 00:36:55
小学校の飼育委員会の6年生、5年生が、獣医先生に送った手紙をご紹介します。
この手紙を読みますと、こどもたちは動物のことについて、心のこもった指導を受けると、指導者の気持をも吸収し、一層動物への関心と愛情を深めるのだ、ということがわかります。手紙は、しっかりとした字と文章力で、生き物への愛情を表わしていて、小学校の飼育委員会の生徒たちの素晴らしさに感動しました。

大人の生き物への姿勢や心持ちが温かいものであるか非情なものであるかは、こどもの命に対する感じ方、考え方に大きく影響していく気がします。教育や福祉の観点からも、生き物、特に身近に飼っているペットを、家族や友達として大切にしていきたいものです。



Uさんの手紙
先日はいそがしい中、私達のために来てくれてありがとうございました。
先生のおかげで、いままで知らなかったことも分りました。
私達はもう6年生なので、来年は飼育委員会にはなれませんが、この間教えてもらったことを生かして、これからも動物のことを色々知っていきたいです。
たまごの生みやすい環境や、うさぎのだき方など、赤い血を出したら病気だということなどを教えてくれてありがとうございました。



Tさんより
先月は、インコやニワトリ、うさぎの事を教えてくれてありがとうございました。うさぎが赤い血をだしているのは病気だと言う事が分りました。



Kさんより
先日は、いろいろな質問に答えて下さってありがとうございました。
うさぎの心ぞうは速いということを知り、すごくびっくりしました。ニワトリやインコがなかなか卵を生まないので心配しましたが、先生が来て下さった次の週に、クジャクが卵を二つ生みました。クジャクはずっと卵を生んでいなかったので、私にとってはすごくうれしいでき事でした。インコの卵はあいかわらずかえりませんが、この一年間でいっこでもいいからかえらせたいです。



Yさんより
先生のおかげでみんな動物の接し方も変わったようで、みんな動物をかわいがってあげています。



Oくんより
教えてもらったことをいかし、飼育委員としての自覚を持って、小鳥やにわとり、うさぎの世話をしていこうと思います。



Eくんより
先生のおかげでぼくたちには、動物のことが分ってとても勉強になりました。安藤先生もこれからもがんばってください。本当にありがとうございました。



Eさんより
来てくれてありがとうございます。インコの♂と♀の見分け方とかわかりました。あとあのうさぎの心ぞうの音ですがとてもびっくりしました。あの速さまだおぼえています。その日は家族に教えたほどですから。



Mくんより
兎の持ち方は首の後ろをつかんでかかえるように持つとは知らなかったけど、先生が教えてくれたのでしっかりとおぼえることができました。ほかにもニワトリのふしぎだったことも教えてくれたので、今飼育にとても役立っています。



Sくんより
動物が病気になったらどうするかがよく分りました。



Hくんより
これからもにわとりやうさぎのせわをがんばります。



Uさんより
わたしが一番はっきり覚えている事は、うさぎのみゃくの早さです。
自分のみゃくの音はゆっくりなのにうさぎはとても早くておどろきました。小さければ小さいほど早いのならねずみや小鳥はもっと早いのかなぁ〜、と思いました。またぞうは大きいから、とってもおそいのかなぁとも思いました。
そのほかにもうさぎのだき方も印象に残っています。首の皮を持つやり方にはおどろきました。
とにかく、楽しくておどろきの時間をありがとうございました。これからも動物を大切にしていきます。



Kさんより
自分の心臓の音はドクンドクンだったけど、うさぎの心臓の音はドクドクドクドクとはやかったですね!



5年 Mくんより
ウサギの持ち方や、ウサギのオスかメスかみくらべるのをおしえてくれて、どうもありがとうございました。大人になってもおぼえていたいです。



5年 Nくんより
ぼくは一番おとなしいモイスチャーをだきました。先生が言ったやり方でやったら、フツーにだっこができました。いつもらんぼうにだっこしているけどそのやり方でやったらちゃんとだっこができました。



5年 Sさんより
今では、うさぎのめんどうを見るのがたいへん楽しいです。



5年 Fくんより
いっしょうけんめい勉強してしょうらいは先生のようなじゅう医になりたいです。



5年 Nくんより
おかげでうさぎも暴れないで持てるようになりました。



5年 Iさんより
私はハムスターをかっています。オスをかっていて名前はハムと言います。あつい夏をのりきるためにすずしいところにおき、水、えさは毎日とりかえています。





獣医先生の願い<動物にも命があるんだよ。それを感じてもらいたい>2007-04-23 04:12:40


茨城県結城市の『ゆうき動物病院』の安藤先生は、小学校のうさぎやモルモットたち、動物の病気を治す先生です。「うさぎが元気がないんです。」「モルモットが何も食べない。」などの連絡があると、急いで学校に行って診察をし治療をします。


でも、安藤先生の仕事はそれだけではありません。「学校の生徒たちに、生き物の飼い方の指導をし、動物にも命があることを伝える。」という大事な仕事があるのです。


どう教えていくか難しい
茨城県では、学校の生き物の健康を管理する『学校獣医制度』があって、各小学校には、獣医師がついて、学校の生き物の健康を守ったり、生徒に飼い方の指導をしています。そうすることを通して、こどもの心に、優しさや親切心、自分より弱い立場のもの、力のないものをいたわる気持が、自然に育まれることを願うのです。安藤先生はそうした獣医先生の一人なのです。


「私は、まず動物にも命があるんだよ、ということを、生徒にわかってほしい。それを感じることから、命そのものもみんなも大事にしていくことになっていくと思うんです。」と安藤先生はまず言われました。
「動物にも命がある、命は大切にしようということは、言葉で言うのは簡単に言えますが、実際にわかるように伝えるのは難しいのでは?」と訊きますと、「そうなんですよ。」と、安藤先生は大きく頷きました。


「でも、いい方法があるんですよ。」とにっこりと続けました。
「私が担当している小学校はうさぎやモルモットを飼っているのですが、その動物を、生徒たちに抱かせるのです。そうすると、うさぎもモルモットも体温があって温かい。心臓がとくとくとくとく動いているでしょ。・・・生徒は、それを感じると、『あ』としばらくそのまま黙っている。・・・もうこの瞬間、この温かさ、心臓の鼓動は、自分と同じ命なんだ、ということがわかったんですね。わかったら、その生き物を大事に思う。命を大事に思うんです。」
この時の安藤先生の顔は、本当に嬉しそうでした。



でも、問題もある
それは、鳥インフルエンザ等の病気のことです。動物から人に感染する病気のことが新聞やテレビで報道されると、保護者から、「こどもに生き物の世話はさせないでほしい。」という要望が出るのです。


「お父さんやお母さんの心配はもっともなのですが、実際は、本当に感染する病気はそんなにないのです。また、噛まれないようにする、排泄物を素手でさわらないなど、正しく世話をすればまず心配はない。かえって過度に警戒して、徹底的に生き物を嫌うことを植えつける方が、人格形成の上でよくない影響を与えると思うんですよ。生き物の習性を知り、この生き物にはどう接したらいいか、こういうことはしてはいけないなどを学んで、生き物とは親近感を持つ接し方をしていった方がいいと思います。
アレルギーの生徒は動物にさわらせない、そばに寄らせないようにしますが、生き物が悪いと意味づけるようにはしませんね。命を大切にするということは、自分を大切にすることに繋がり、それはそのまま他者を大切にすることですからね。いつでも、自分より小さな、あるいは弱い生き物を守る気持を感じていたいですね。」



悩みもあります
安藤先生の悩みは、「学校の先生が、前述の考えを理解してくれなくて、動物の世話もいいかげんに済ましてそれでいいと思っている人がいる。かと思うと、先生がつきっきりで、生徒がさわろうとすると、汚いとか危ないとか言って物のように扱ってしまうこともある。」ことと、「文部省は、動物の命を大事にする、という通達をしてくるのに、治療費などの補助の予算をとってくれない。命のあるものは病気や怪我をすることもあるのですから、大事にする教育を考えているなら、治療費等を考えた予算をとるのは当然でしょう。」ということだそうです。


「こんな風に土台があやふやで、愛情持った正しい管理が行き渡らないから、うさぎは増え放題だったり、病気で次々死に、死んだうさぎがそのまま放置してある、ということもあるんですよ。生き物にも生徒にもこんな状態はいいわけないでしょう。」
穏やかな安藤先生がちょっと強い口調になりました。



ほのぼのと嬉しい
「動物とこどもとの関わりは、大人の考えや思惑などがありますから、動物にさわってみたくてもさわれなくて、結局、動物の体温や鼓動を体感できないまま過ぎてしまうこどももいるわけですが、病気が治ったうさぎがまた元気に小屋の中を歩いているのを見て、ぱあっと顔が輝きます。そういう様子を見ると、「こどもは本来は動物、生き物を受けいれるんだな、好きなんだな、と感じるんですね。この喜びは、ほのぼのといつまでも続くんですよ。」と安藤先生は幸せそうな顔になりました。