今日のてっぱん・・・あかりを、ありがとうございました

あかりの実の父親の立花さんが、帰京する前、おのみっちゃんにやってきた。
「おばあさんから、忘れ物がありますよ、と電話をいただいて来ました」と言う立花さん。
「え? 何を忘れたのですか?」無邪気に問うあかり。
「おのみちの豚玉をください」
「はい」

おのみちのお好み焼きを食べながら、19年前、あかりのお母さんのちはるさんと二人で、尾道に行き、お寺の境内から海を見つめた日のことを語る立花さん。
「夕暮れがせまってきて、まちの灯りがぽつ、ぽつと灯っていった。・・・あの人は、あの灯ったあかりのなかに入りたかったのだと思う・・・」というようなことを、静かに明かす立花さん。あかりは充分、母がこの人に愛されていたのだとわかった。そしてこの日が、母が愛する人との別れの日になったことも。

おのみちのお好み焼きを食べ終わると、立花さんは、深い慈愛のこもった爽やかな笑顔をみせてあかりの店を出る。
店のわきの小さなお宮で、村上父さんがいた。目を合わし合う二人の父。

村上父さんは泣きはらした目で立花さんを真っ直ぐに見詰め言うのである。
「あかりを、ありがとうございました」。

立花さんはしばらく(実際は一瞬に近い間)村上父さんをやはり真っ直ぐに見詰め、「ありがとうございました」と礼をしてそこを去る。

この二人の父のシーンは名シーンと言うにふさわしいシーンだった。

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ただ、私にはひとつ不消化になったことがある。
田中さんである。私は田中さんこそ何か大事なことを忘れているのではないか、と感じてならないのだ。
田中さんは、長い時間、娘のちはるさんが家出をしたことで苦しんできた。
その背景を考えると、立花さんに対しての描き方がずいぶん世事的にあっさりしているなぁ、と感じたのだ。
・・・でもこれは、今後の展開のなかで埋まってくるものがあるのかもしれない。

余談だが、富司純子さんは、タンカっぽいセリフを言う時、藤純子さんの時代のさいころを振っていたねーさんを彷彿とさせて今も透き通って輝いている。