熊あわれ

柿の木に登って柿を食べていた熊の親子が撃ち殺されたという。
冬眠を前に、空腹を満たしておかなくてはならない熊たちは山で食料をさがし里まできたのだろう。やっと見つけてた柿。どんなに美味しかったろう。嬉しかったろう。お母さん熊は、子供の熊に、「おなかいっぱい食べておくんだよ、春までぐっすり眠るために」と言ったに違いない。これは熊の習性なのだ。熊が生きていくために必要なことだった。
きっと何疑うことなく必死で柿を食べていたのだろう。
そこを撃たれて死んだ。この秋、かなりの数の熊がこうして公認のもとで射殺された。


住民に熊による被害がでる可能性のあるなか、射殺という手段をとられていることを、ただかわいそうだという気持ちのままに非難するつもりは毛頭ない。


だが哀れでならない。そして問いたい。
今年の熊たちの悲劇を通して、今後どうしたらいいか対策を考えておられるのですか、と。
専門家によると、今年の猛暑でどんぐりの成る楢の木などが枯れてしまい実がならず、熊たちの食料がなくなったのだという。
それなら、今後もこうしたことは起こり得るわけでしょう。どんぐりの成る木の伐採をやめるとか、山に木の実の成る木を植えるなどをしていかれるのでしょうか。まさか、人間にとって害獣の烙印を押す生き物は、出てきたら殺せばいいとばかりに放置していくつもりではないですよね?

以前にもブログで書いたことがあるが、何年も前、千葉県内の猟友会が、野良イヌを銃で撃って駆除という名の殺戮をし、その数トラックで三台分だかになったというラジオのニュースを聴き、私はラジオ局に電話で事実を確かめ、一人で千葉に調査に行ったことがあった。愛護運動なんたらの活動のためではない。ただただ犬たちが哀れでその駆除とかのやり方に疑問を感じた。またトラック三台になるほどの数の犬を野良イヌにさせている行政の在り方にも怒りを覚えた。それらの真実を聞きたいというむにやまれない個人の気持ちで千葉の猟友会に訊きに行ったのだった。

千葉の権力をもつ議員に会い、それらは本当であったことを知り、また猟友会の数人の人とも会った。
この時、一人の人が、「公認だったから、堂々と撃ち殺すことができた、アッハッハッハ」と気分よさそうに笑ったのだ。

私は今回、次々と熊が殺されていく様をテレビで見ながら、あの高笑いを思いだしてならないのだ。
動物たちのことで問題が生じることの多くは、人間の仕業が根本にあることが多いというのは今や常識として誰もが知ることでしょう。そのことをふまえて、今後の対策を切に切に願います。