介護・2000年〜2003年の悪夢

昨夜のことである。一日の最後の薬を注入し、オムツを取り替えさっぱりとしていつものように就床したはずの夫の様子に「あれ?」と感じて照明をつけて見ると、布団や毛布をはいでいる。「寒いから着ましょう」と掛けなおそうとしてわかった。オムツを全部はいで排尿をしていたのである。


一気に2000年〜2003年の悪夢が甦ってすっかりへこんでしまった。
この悪夢というのは、毎夜毎夜何回もオムツや防水シーツをはいでベッドに排尿をすることと、15分とベッドに横になれないことと、外や二階にあがる徘徊である。
排尿は、ついさっきトイレで終わっていたはずなのにベッドに入ると必ず布団の中でしてしまうのである。
そして、ベッドに横になっても15分もすると、まるで撃たれてもすぐにガバッと起き上がるゾンビの如くに起きてしまうのである。
徘徊は私がトイレに行っているすきなどに姿が見えなくなっている。
これが半年近く続いた。終わったと思うとまた始まり、結局3,4年かかった。本当につらかった。眠れないこと、布団がいくつあっても足りないこと、徘徊ですぐに見つけられなかった時の不安、本当に本当に本当に辛かった。
夫の脳を金属バッドで叩き潰してやりたいと激昂したこともあった。自分の首をつる樹木の下見は何度しただろう。


昨夜、もう忘れかけていたオムツの取り外しと布団の中での排尿をみて、「もうあの繰り返しは耐えられない」と烈しく思った。絶望感も覚えた。前は想像もできない事態の積み重ねだったので、その時、その時を必死で対応しているうちに過ぎていき、なんとかこうして暮らしを保ってこれたのだが、またあの日々を送らねばならない、ということになるとそれはもお耐えられることではない。ジェットコースターに乗ってその恐怖を味わったら二度と乗れないと同じだ。(ちょっと違うか?)

当時はそういう夫の介護をしながら、夫を三日間ショートスティにお願いし、父親の病院に三日間寝泊りして看護するということも重なっていて、しかも動物の世話もあるから三日間病院にいる間に一度は往復6時間をかけてえさやりに戻った。私のその実状を知る人から、「あなたは化け物か妖怪か、よくそんな過酷をやっていける」といわれたこともあったほどだ。


※ネガティブ過ぎるのでこの後の文章は削除した。ま、介護とは人生と同じ、山あり谷あり、ということで。