30日の様子

また微熱が出ていた。普段6度分ほどだから、7度1分の熱は苦しいだろう、と思ったが私にはどうもできない。
トイレに行きたい、という。排便か訊くと「うん」と言う。
ナースステーションで訊くと、「院内のトイレならいい」とのことで、車椅子に乗せて行った。だがかってなく足がもう細く弱っていて、立つこともおぼつかなくなっているのがわかり、どうにも胸にこたえた。
点滴の管をよけながら、抱きかかえるようにしてやっと車椅子に乗せる。そうしてから、点滴を掛ける棒がないことに気づき、夫をベッドの横に待たせて、棒がどこにあるかをまたナースステーションに訊きに行く。
そうやってトイレに行ったが、点滴のついた足が立たない夫を便座に座らせるのは、素人技術でしかない私にはとても大変であった。


排泄が終わり(ほんとは出なかったのだが)、おむつをつけるために立たそうとしたが、もう立てない。すぐに崩れる。おむつをつけないで車椅子に乗せ、あとはベッドできちんとしてあげようと、車椅子に乗せようとするのだが、これが狭いトイレの中なのでとても難しい。やっと座られたところに、これまでお会いしたことのない若い看護師さんが、手伝いましょうと来て下さった。まさに地獄に仏様! この看護師さんが、実に爽やかでさっぱりとして親切で、手際がよく、夫の顔が晴れていくのが見えて、また私はここで感極まってしまった。