夫の排泄 夕食の時間

夫は排泄が正常にできない。正常でないというのは、つまりトイレでできない、下着の中にしてしまう、ということだ。多分、「トイレにいかなくちゃ」という感覚がなくなっているのだと思う。なんかヘンだなぁ、と感じても、それがトイレとつながらなくなっている、という風に見える。


さて、今日(22日)のことだ。いつものように病院の食堂になっているホールで夕食を食べ、終わってから少しの間テレビを観て、トイレに誘導したのだが、その時にはもう紙オムツの中に広がっていた。
こういう状態は、家にいつ時もよくあった。そういう時は充分トイレットペーパーなどでふき取ったあと、シャワーで綺麗に洗うのだが、病院ではそういうわけにはいかない。幸いウォシュレットなので、ある程度洗えるのだがそのくらいではなかなか、である。それで時間をかけて何度も何度もウォシュレットしてやっと気にならないところまできれいにした。


話は変わるが、食事の時、何人かの患者さんと一緒である。私は自然に皆さんの寮母のような役を担う。自力で食べられない人の介助をしたり、お盆の後片付けを手伝ったりする。中には、「あんたに食べさせてもらうと美味しいな」とお世辞を言って下さる人もいる。「あんた、役場の人?」と訊かれることもある。この病院は、家族の方が殆どみえないので、私を夫の家族と思わず、保健師かヘルパーと思われるようだ。
食事の間、テレビがついていて、今日の場合は朝青龍が負け、その後のニュースで麻生太郎さんが新総裁になったと報じていたが誰も関心を寄せない。


中に、もう言葉を忘れておられる老年の男性がいらっしゃるのだが、この人が私が差し出すスプーンからごはんやおかずを一口食べるごとに、じいいっとこちらの顔を凝視される。この時の目が、ミルクの匂いのする赤ちゃんと同じようなのだ。
私はこの夕食の時間が好きだ。