夫の性癖

夫は若い頃から、人が(この場合は私が)これは○○しないで下さいね、と頼むそばからしないでと言ったことをやり、それに人が(私が)イライラしたりオロオロするのを、上からニヤニヤして見下している、と感じるようなところがあった。その性癖が私は大っ嫌いであった。

認知症になった今も、この性癖は出る。今夜の就床前に、熱を測るために体温計をわきにはさみ、「一分だけ動かないでね」と言うそばからわきを開けて体温計を落とし、私がうろたえるのを気味よさそうに見るのである。
”大っ嫌いだ”と私は思い、口もきかず夫を横にさせ、体温計と血圧計を乱暴にしまい二階にあがった。マジで不愉快で気持ちが悪く、『どこかいっちまおうか』と思った。

私は本気で怒ると怖い。二十二年前、埼玉の在所にボロ家を借り、猫と犬と四十匹をつれて、家を出たことがある。二年経って、夫が脳梗塞で倒れ、家に戻り現在に至っている。やるときゃやるよ。