殺された赤ちゃんとあとを追い自殺されたその若い母のこと

今朝、テレビをつけると、みのもんたさんの朝の報道番組(?)が放送されていた。この前起こった、男が押し入り、生後十八日になったばかりの赤ちゃんの口をガムペープでふさぎ、その母を冷蔵庫に縛り付けて、出産祝い金を盗んだ事件を報じていた。そして赤ちゃんは亡くなり、赤ちゃんの若い母があとを追うように自殺をされたという。


最初この事件をラジオで聞いた時、あまりのかわいそうさ、気の毒さ、痛ましさ、そして犯人への怒りが烈して烈して「こんなひどいことが実際にあるわけがない、聞いたことは悪夢だ、熱による悪い夢だ」と思おうとすらした。


今朝のみのもんたさんの番組が、この一連の出来事を報じていく中で、Kさんという女性のコメンテーター(?)が、若い母が自殺をしたことに対してこのように言われた。
「何か解決したいことがあったんでしょうね」
私はそれを聞いて、あまりの言葉に唖然とし、テレビを消してしまった。


「何か解決したいことがあったんでしょうね」
この言葉を聞いた時、”このKというコメンテーターは、自分の目の前で生まれたばかりの赤ちゃんがガムテープをはられ、息ができなくなって苦しみながら死んでいくのを見ていなくてはならなかった、助けたくて助けてやりたくてどれだけもがき、また犯人にそれをたのんだだろう。それでも助けてやれず死んでいった赤ちゃん。自分が助かったことなど何も嬉しくなく、ただただ辛く苦しく、赤ちゃんへを哀れに想う気持ちと自責に苛まれただろう、若い母の痛みを理屈抜きに感じることができないのか。これらを気の毒に思い、痛みを感じ取れる気持ちがあったら、「何か解決したいことがあったんでしょうね」など言えるわけがない。解決などできない”想い”をこの人は想像もできないのか”となんともいえない重い落胆に打ちひしがれてしまった。
こうした苦い落胆は、しばしばこの番組から感じていた。今回は特にどうしようもない。


今、このことを書いているのは、新聞を読んで、それによると、この若い母は、”レイちゃん(赤ちゃんの名前)のところに行きたい、今度こそ幸せになろうね”と書かれたものを残しておられたという。そして、”レイの最後の泣き声が耳についてはなれない”と言われていたということも。・・・せめてこれを書き留めて祈りたかったから。