毎日JP 福島第1原発:警戒区域に独り 井戸水とろうそくで生活ー町内を彷徨う犬猫に餌(自分に出来ること)

http://mainichi.jp/select/today/news/20111214k0000m040128000c.html?inb=tw
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松村さん宅は原発の南西約12キロに位置。富岡町内の残留者は一人だけという。震災から約1カ月後、松村さんも同県郡山市内に一時避難した。だが、すし詰め状態で避難所に横たわる被災者を見て「自分には無理だ」と思い、3日ほどで自宅に戻った。「『自分勝手だ』と非難があることも分かっている。罰金ならいくらでも払う。でも自宅に帰ることが犯罪なのか。おれたちは被害者なのに


 自宅は電気、水道などライフラインが寸断されたままだ。だが、自家用車に使うガソリンなどの燃料は火災を心配する町民が「使って」と提供してくれた。食料は備蓄のコメや缶詰。風呂は井戸水をまきで沸かし、夜はろうそくをともす。「東京のために発電してたのにさ、今じゃ電灯の一つもつかないんだからな」。午後7時には布団に入りラジオに耳を傾ける。


 町内にさまよう数十匹のイヌやネコ、牛約400頭、飼育施設から逃げ出したダチョウなどに、動物愛護団体から送られた餌を毎日数時間かけ、与え歩く。「町に戻った自分にできること」という。


 同居していた両親は静岡県内に避難しているが、避難後に母(80)は認知症になった。伯母は避難先の病院を転々とするうち体調を崩して亡くなった。

 「フクシマ」の現実を世界の人に知ってもらいたいと、英BBCなど欧米メディアの取材に積極的に応じてきた。「人間が作った機械に完璧なものはない。『夢のエネルギー』なんて幻想だ」。怒りを込めて訴えてきた。
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