相棒「右京のスーツ」

先週、今週、相棒は品性正しく節度のある愛情を深くもった人間が、狡猾な人間の巧妙な動きの前に品性正しいからこそずるく立ちまわれずに、結果犯罪を犯してしまうというドラマが続いた。

私は目いっぱい社会派の相棒も好きだが、こうした人間の物語はもっと好きである。だから、先週の、母親に裏切られながら決して母親を恨まず、むしろ姿を消した母親を気づかいのこされた妹を懸命に守ろうとする少年と、今週の老いた仕立てやと女性テーラーに胸打たれ引き込まれた。

小松政夫の仕立てやの悲しみと人間愛に裏打ちされた誇りの高さは見応えがあった。
世にいる巧妙で狡猾な人間は、自分だけの利益のために生きる人間にはわからぬように、容易にこの仕立て屋のような人を食い物にする。仕立て屋は社会的に弱い部分をもっていた。そこを狡猾な人間はつけいる。仕立て屋は立派な技術をもち、品性正しいからこそ狡猾な人間の仕業をしゃあしゃあとあしらうことができず、もろに毒を受け罪を犯す。・・・・・この図式が形はかわれどどれほど多いか。そうしたことを思いながら観た。