佐野洋子さんへー「100万回生きた猫」を遺してくださり永遠に感謝です

大好きな絵本です。どこかで何度か読み聞かせをしたことがありますが、そのたびに、おさえてもおさえても慟哭におち最後まで読むことができませんでした。
でも、読むたびに、それが誰かの前で読むときであっても、一人でぽつんと読むときであっても、私はいつも不思議なほど素直な気持ちを取り戻していたのでした。本当に癒されていたのです。

何年も前のことですが、ある新聞社の授賞式の席で、佐野洋子さんにお目にかかったことがありました。
佐野さんの表情は、終始厳めしかった。
私はその表情にかってない癒される思いを抱きました。佐野さんは、赤い唇から出る言葉で絵本や小説を書いていらっしゃらない証を目の当たりにしたと感じたからでした。そして、自分は、死ぬほど大っ嫌いな赤い唇で作品を書いてることから逃げていたことを、しんしんと悟ったのでした。

心からご冥福をお祈り申し上げます。