やめる? やめない?

いえ、鳩山首相の話しではありません。
私が美容院にカットに行くのをやめるかやめないか、の話。
夫がディサービスもショートスティもいやがるようになって、なかなか美容院に行けず、ショート派だったのに伸び放題の頭になった。
夫が他界した今、美容院にゆっくり行けそうなもんだが行けないんだナこれが。なんというか、人に合うのが嫌なのである。特に美容院はどこに住んでるかとか仕事は何をしていたかなど訊かれることが多いので、それが苦痛で足が遠のいていた。

でもどうしても行かなくてはならない用事もあることだし、ここらで髪を切ってもらおうと思ったのだが、大型スーパーの通常の費用のかかる美容院に行くか、1000円でカットだけという美容院に行くかグダグダ迷っていた。
通常美容院は苦手なやたら話しかけてくる人がいるし、1000円の方は、必要な質問をしてもろくに返事もしてくれない。無口なのはいいのだけどそういうことではなくて、1000円カットのみの店だからカットのみ、ほかは口もきかん、だって料金に入ってないもーん、とばかりの無言なのである。これも心地は悪い。なんか来てごめんねという気分になってしまうのだ。

結局、こんなことでグダグダ迷うなら自分で切る、という気に突然なった。
思うとすぐに行動に移す癖のある私は、なんでもいいから耳がかくれるくらいの長さをイメージしてジョキジョキ切った。それも、深くうつむいて頭を下にむけ、髪をみんな顔の前に垂らしてはさみで切るという方法をとった。
これが何十年も前に、テレビでどこかの国の美容院が、利用者を逆さづりのごとくに下向きにし、カットしているのを見たのだが、それを思い出したからだ。

外に出られない髪形になった。サザエさんのワカメちゃんの髪型の前髪が超短い形。誰もわからないが、昔継母が飼っていたインコの髪型。
若い人がこの髪型をしていると、変だけどあの子はあんな髪型が好きなんだ、というところにおさまるかもしれないが、私がこのまま外に出れば、いよいよおかしくなった、と見られるのは必定である。

スカーフをまいたり帽子をかぶってみたりしたが、うまく洋服を合わせられないので、めんどうくさくなってそのまま出ることに。ある用事で出ないわけにはいかなかったのだ。

でもその頃には鏡を何度も見ていたので、恐ろしいことに慣れてしまって、たいしたことないと思うようになっていた。だから堂々と外に出た。

玄関から出るとまず合うのが数匹のうちの犬たちである。犬たちが玄関のドアが開くといつもする尻尾を振ろうとして、はっとして、それから見ちゃいけないものを見たって顔をした。

ま、しょうがない。いずれ伸びるだろう。