やくみつるさんの、引退した朝青龍への評

たまたま観ていたテレビで、やくみつるさんが、引退した朝青龍を評して、「愚かですよね」だったか「愚かなやつですよね」だったか、とにかく愚かであると言われていた。

この言葉は、これまで朝青龍に厳しい断定をし続けてこられたやくさん自身の後ろめたさをあらわしている、と思った。
そして、これまでやくさんという人に、何かの事柄にコメントをする時、観る人に鋭意と思わせるいかにも先鋭的な言葉を出しつつ、だが決して世間を敵にまわさない隙のない巧みさがあるのを感じていたが、今回の朝青龍に対して、「愚か」と冷ややかに断言されたことで、この人は、躓いた人間に石を投げてなんの痛みも感じないのだなぁと思った。そういう人のコメントにどんな価値があるのだろうとも思った。
優れたコメンテーターというものは、厳しい評を出すことと、躓いた者に石を投げることの違いをきちんとわかっている人のことだ、とも思った。

朝青龍は多くの人が腹を立てる仕業を確かにした人に違いなく、また引退は、努力不足と相撲という道を極める上で心の欠落があり、そのレベルが招いたことであるが、そうであっても相撲界の中で、彼にしか輝やかせられなかった☆を刻んだ人だ。彼が相撲界、日本の伝統をなめたと怒りを覚えるなら魂で怒ればいい。だが、愚かだなどという泥を投げつけていい横綱ではなかった、と私は思う。彼の躓きを本当に惜しいと思う。