相棒 再放送 「黙示録」

放火殺人の罪を犯した死刑囚が独房で死ぬ。
ここから彼を死刑囚にした警察官、判事たちと、息子は無罪と信じる死刑囚の父親の苦悩を軸に、新たに起こった殺人のドラマがはじまる。それぞれの立場の苦悩が軸になっているが、主軸は『冤罪』と『死刑という制度』で、そこには裁判員制度という問題の付加もあって、なかなか意味も筋立ても深いのだが、右京さん(水谷豊)の洞察力と薫ちゃん(寺脇康文)の行動力は明瞭でシンプルでいわんとすることはわかりやすかった。(思わせぶりに難解なドラマについていけない私は納得)


ただ、ラストの死刑囚の父親(林隆三)が、判事(石橋凌)に言う言葉は「あなたを赦します」のみでよかったのではないか、と思った。そして、この判事は死刑判決に反対であったことを明かす必要もなかった、と思った。そうすれば、林隆三が判事に言ったセリフ、「あなたは命の重さがわかっていない」を言わせる必要はなかったのだ。あれは失敗だ、セリフそのものはいかにもだが、だからこそあのセリフでこのドラマは凡庸になった、と私は言う。
なんで決定的な罪を負わせなかったのだろう。現実はしばしば人間は絶対的な罪を犯すでしょ。それを自覚して苦しむかしれ〜として生きるかは別として。