入浴

午後病院に行くと、バスタオルの洗濯物が出ていたので、『お風呂にはいったんだな』とわかった。
「お風呂にいれていただいたのね」と訊くと、夫はいかにも嬉しそうな表情で「うん」と答えた。
その後、いつものように「車椅子に乗ろう」と言うと、首を横に振る。私はものぐさで嫌がってるのだと思い、「身体動かした方がいいのよ、行こう」とさっさと車椅子に移動させ廊下に出た。
すると看護師さんが後ろから、「あら、お風呂にはいった後は、疲れるからベッドで横になってててね、と言ったのに」と言われた。
そして、夫に、「今日は散歩は行かないって言わなかったの? そう言ってね、と言ったでしょ」と言われる。私はあわてて、「いえ、行かないって言ったんです。私がめんどくさがっているのだと思って、無視して車椅子に乗せたんです」と注釈し、すぐに病室に戻った。


「さっき、車椅子に乗らないって言ったのわけがあったのね。無視してすみません」と私は反省しながら謝った。
夫は、「べつに、いいよ」と笑ってくれた。


それにしても、こうやって入浴ができるようになって本当によかった。