1226423[今日の雑記][のんびる]東武野田線

今日(11日)は東武野田線に乗って取材。駅から3分で電車から見える、と聞いたので、そんなに近いなら電車で行こうと、車を駅前に置いてあとは電車だったのだ。
ところが誤算が二つあって、またまたヨレヨレ状態で帰宅。
誤算1−駅から3分で、電車から見えるといやぁそうなんだけど、駅から先にあるところなので、どんなに気をつけて見たって見えないのであった。そして、よその家に踏み込んで直進すれば3分かもしれないけれど、道はそうはなってなく、ぐるりと回って行くので、旧式の録音機から電車で読むための大きな本を三冊も入れたカバンを抱えての私には、3倍の時間がかかった。
誤算2−取材はたいてい1時間半ぐらいで終わるのだが、開かれていた会議に最初から最後まで同席する流れになっていてやっぱり3倍近くの時間を要した。

動物家族に食事をやったら、自分の食事を準備する根性もなく眠り込む。締め切りが過ぎているので、なんとしても朝までにまとめて送信しておこうと、こうして起きたのだが、自宅の電話と携帯に着信ありが。病院からだったかとあわてて見たら息子の電話だった。でも遅いから掛け直しはせずメールだけ打って、これから一仕事だ。

その前に東武野田線で思い出したことをひとつ書いておこう。
二十年以上前のことだが、当時埼玉に住んでいて、猫をよく捨てにこられ、そのえさ代をなんとかしなくてはならないので、水泳のコーチや銀行に勤めるなどパートをやっていたのだが、ある時期、東武野田線で行くまちのマンションの販売所に行っていたことがある。

そこは、急激に伸びていた会社が売り出していたところで、その社長がある大きな事件の当事者として逮捕が間近いと社会が騒がしかった。
そういう事態の中、販売所に通っていたのだが、私は派遣で雇われていたのだが(今でこそ派遣は普通だが当時は珍しかった。女性二人でやってらした)、会社側の人も何人かいて、その人たちが互いを監視し合ってるような熾烈というのか暗い淀んだ感じがあって身の置き場もない気持ちで働いていた。

ある日、マンションの前の何軒か並んでいた住宅の一軒から、「わー、わー」という奇声が聞こえてきた。
その声に対して、会社の人たちが、「ああいう人間が近くにいると、マンションが売れないから、施設に入れてもらうように話がついた」という意味のことを話していた。どういうことか訊くと、奇声を発していた人は、障害のあるその家の息子さんであるという。

私は驚いて、「マンションが売れないから施設に入れてほしい、というなんてとんでもないことでしょ。言ってる意味がわかってるんですか」と大変な剣幕で言ったのだ。
翌日から私はそこにはもう行かなくてよくなった。そして派遣会社からも仕事はまわさないと言われ、登録も消された。そこは時間給がよかったのだが仕方なかった。

あれ以来の東武野田線だった。
その駅を通り過ぎる時、あの息子さんは今はどうしておられるかと思った。

あの販売所の人間に関しての後日談がいっこある。
首になった後、大宮駅で、会社側の女性社員の一人にばったり出会った。
その時彼女は、私を見下したような表情で、「あなた猫をいっぱい飼ってるんだって? どおりで猫くさいと思った」と言った。
私は言い返した。「あなた、あのマンションでも、今も、卵の腐った匂いがするわね」。
そして、フンと侮蔑の笑い見せてさっさとそこを去った。