家政婦は見た

夫が脳梗塞で倒れて以後、テレビドラマをよく観るようになった。複雑な筋を理解しようとしたり、重いテーマを考えたり、という見方はしていないようだが、それなりに理解して笑ったり否定的なリアクションをしてりするので、私は積極的にテレビをつけているのだ。

昼食の後夕方までつけているのが、テレビ朝日徹子の部屋とその後続くドラマである。
そのドラマがここのところ、市川悦子さん主演の「家政婦は見た」が連日放送されていた。
昨日だったか一昨日だったか、徹子の部屋で、市川悦子さんが出演されていて、「家政婦が見た」の話をされていた。これがフアイナルを迎えるのだそうだ。私は「家政婦は見た」は一、二本なんとなく観た記憶があるだけであまり関心がなかったのだが、この対談は面白かった。
それによると、出発は、松本清張の小説「熱い空気」だったのだという。エリートの家庭で働く家政婦が、その家庭を崩壊させる、という悪女の役だ。そして「家政婦は見た」というのは、副題としてついていたのだとか。

視聴率が高かったので、制作者が、シリーズにしようと松本清張さんに相談したら、自分はシリーズは書かないが、一作目の続編という形で「家政婦は見た」シリーズを作るのは別に構わない、という返事で、現在に至っているのだという。

今回以前に放送したシリーズ連日出しているのは、ファイナルの宣伝もかねているらしいのだが、私はこの再放送で夫ともども熱心な視聴者になってしまった。
勝手に、潔癖で正義感の強い家政婦さんが、働いている家の欺瞞をひっぺがす内容だと思って倦厭していたのだが、そういう設定ではないようだ。結果的にそうなるが、この家政婦さんは別に正義のつもりはなく結構俗物として描かれている。身勝手なところもあるし。市川悦子さんがそれらをひっくるめてしゃあしゃあと演じていて面白かった。